愛媛大学 教育学部三年の彼女は、卒業後の進路に関する悩みがきっかけで歩き遍路を始めました。教師を目指して進学したものの、その仕事の大変さについて話を聞いているうちに迷う気持ちが出てきてしまったのです。
周りの友達にも話せなかったその悩みを打ち明けたのは、三番札所 金泉寺を回り終えたところで出会った二人組です。彼らは彼女と同い年の二十歳で、関東から遍路にやってきていました。数日間を共に歩いた頃、彼女は教師になるか迷っていることを話しました。すると二人から、
「悩むことは夢に向かって進んでいること」
「悩んでいるのは、教師になりたいから悩んでいるんじゃないの?」
と励ましの言葉が返ってきました。そこで彼女の価値観やとらえ方ががらりと変わったようです。心が楽になり、感動の涙が頬を伝いました。
その日の彼女の日記には、【先生になりたいと思った】という決意を書きつけるような一文が記されています。彼女はこれからも、教師という夢に向かって歩み続けていくのでしょう。
お遍路はどんな心の在り方でも受け入れてくれる。「悩んだから試しに行ってみるか」という思い付きでも構わない。理由はどうあれ、旅に出ることで答えが見つかるかもしれない。
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