ジャングルの椿
 八十七番 長尾寺から八十八番 大窪寺まで、香川で一番の難所を若い人やお年寄りも含めた三十五人で歩きました。最初は、いろいろなところで話し声が聞こえていたのですが、だんだんきつくなり無口な集団になっていきました。
 しかし、全く陽の当たらないジャングルに一輪の椿が咲いているのを見つけた私が「わ!きれい!」と叫ぶと、ほかの人も次々と「きれい!」と続き、にぎやかな集団に変わっていったのです。あの椿の花は人間にエネルギーを与え、人の役に立つことをしました。私は今まで人の役に立つことをしていなかったので、あの椿の花のようになりたいと思い、お遍路に没頭し始めました。



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