医大生
 午後二時すぎ、八十三番 一宮寺に納経をしに来た医大生がいました。その医大生は、住職に「実は今日、医師国家試験の発表があるので、合否を確かめてくれないか」とお願いをしてきました。いつもはこのような個人的な話は断るのですが、あまりにも熱心なため住職が調べてみると、彼は国家試験に合格していました。
 その二週間後、その医大生から住職宛に手紙が来ました。実は、その医大生の母親は難病で亡くなっていて、自分はその難病を治すために医者を目指したという内容でした。住職は、彼は医者になるためにお遍路をしたのではなく、人のためになる医者になろうと目指していたと知らされました。人のために行動する人のパワーはすごいなと感じさせられました。



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